その未来は突然に
ごきげんよう!
シンガーソングライターの梨木ハルトです。
前回の記事では、デモテープチャレンジという人生を賭けたチャレンジをやり終えたところまで書きました。
それでは次へまいりましょう!
日常の再開
デモテープを送り終わってからまた通常のシステムエンジニアとしての日常が始まりました。
そしていつものシステムエンジニアとしての日常を過ごして1か月が経ちました。
音楽業界の方もすぐに返事ができるほど暇ではないということは容易に想像ができます。
私はもう返事などないと諦めていました。
けれど返事がないものをどうやって諦めていいのか。いつまで経ったら諦めると決めるのか。
この感覚。何かに似ています。
そうです。あれです!
好きな人に告白したメールに返事がないときのやつです!
2カ月が過ぎようとしていました。
「駄目だったんだ。もう諦めよう。音楽は趣味でやろう」
ということを思いかけていたときでした。
一通のメールが私のスマホに届きました。
内容は
「デモテープを聴いて可能性を感じました。つきましては、対面のオーディションに参加していただきたく思います。」
といったような内容でした。
返事が来たレコード会社は、一番最初にデモテープを送った会社でした。
そして対面オーディションへ
私は複数のレコード会社にデモテープを送っているとき、そのレコード会社の1つであるSWAN SONG INCの代表の相馬敦さんのインタビュー記事を読んで、「ここに所属できたら幸せだろうなあ」と思っていました。
その会社からの返事だったので、私は目を疑い、
そして部屋の中で喜びのあまり飛び跳ねました。
それから少し冷静になり、
「これはチャンス以外の何者でもないが、まだ喜ぶのは早い。
まだデモテープ審査が通っただけだ。これから、対面のオーディションにも合格しなければならない。本当に喜ぶのはそれからだ」
と思いました。
それから対面オーディションの日程をメールをくれた担当者と決めました。
対面オーディションの日まで1カ月ほど間があったので私はその日に向けて新しい曲を作りました。
私は絶対受かるつもりでいました。
このチャンスをものにできなければ次はないし、中途半端な気持ちでこのチャレンジをやってしまったら後悔する。そんなことをその対面オーディションの日までずっと思っていました。
幸い自分で自信のある曲ができました。
対面オーディションの日は平日でした。
そのできた曲を歌う準備を入念にし、私は会社を休んでオーディションに行きました。
場所は普通に営業している都内某所の音楽スタジオ。
オーディションの内容はサビまでの曲を2曲歌うというもの。
スタジオには数人のオーディション参加者が待っていました。
自分の名前が呼ばれスタジオに入室すると、審査員が複数人いると想像していましたが、そこには相馬さん一人がいました。
まさか代表の方がいると思わなかったのですごく緊張しましたが、やるべきことをやることに集中し、2曲歌い切りました。
「最後に質問はありますか?」と相馬さんから聞かれたので私はかねてから疑問に思っていた質問をぶつけてみました。
「レコード会社に所属するには会社員を辞める必要がありますか?」
その答えはこうでした。
多少口調を強くして相馬さんは私に言いました。
「絶対辞めないでください。それだけですぐに食っていけるほど甘い世界じゃないです。」
私はちょっと意外な答えだと思いびっくりし、
会社を辞めないでいい安堵感と、受かっても辞められないという残念感が混じり合った複雑な気分になったのを覚えています。
相馬さんの回答が意外だったのは、厳しい世界だからこそ音楽に集中して人生を賭けなければ結果は出ないのではという想いもあったからです。
何はともあれ勝負のときは終わり、
あとは結果を待つだけになりました。